野菜の味の違いはどこからやってくるのか?ふと、そう考えたときにある農家さんがこう教えてくれました。「一番は品種の違い。次に土地、最後に栽培方法」。例えばトマト、とうもろこし、かぼちゃ、なすと言っても、それぞれの野菜には数多くの品種があります。そしてその品種の違いは、そのまま味の違いを生む大きな要素となっています。
福島・郡山で、少量多品種で野菜を育て、品種ごとの特徴を人並み以上に把握して、食の楽しみを提案してくれるのが『鈴木農場/伊東種苗店』の鈴木光一さん。自らが中心メンバーとなっている『郡山ブランド野菜』としてマーケットに出店する際も、彩りも豊かな野菜が並び、ひときわブースが目立ちます。その魅力は一体どこからやってくるのか?を少しでも探るために、先日福島県郡山市の畑に伺ってきました。
「鈴木農場/伊東種苗店」と名前にある通り、農家であり、種屋でもある鈴木さん。「うちで販売している種は、少なくとも1回は自分で育てた種なんです。だからどんな風に育つか、どんな特徴があるか?聞かれれば、全部答えられます」と話す。まずは自分たちで育て、本当に美味しいと思ったものだけを残していく。数ある中から品種を厳選し、美味しさを僕らに届けてくれます。
その魅了の伝え方も様々。例えば、地元のフレンチレストラン『福ケッチャーノ』と協力しながら、魅力的な料理で野菜を味わえるようにすること。そして「鈴木農場/伊東種苗店」の店内で、種の販売だけでなく、野菜の直売も合わせて行うのも、野菜の魅力を伝えていくための取組の一つ。
当日訪問した際も、常連のお客さんと思しき方が、その日に並ぶ野菜を求めて買い物に訪れて、鈴木さんと会話を交わす。「この前食べた野菜が美味しくてまた買いにきました」「これはどう食べたら美味しいですか?」。近くにスーパーはあるけれど、その日に採れた新鮮な野菜が並び、美味しい食べ方といった会話をしながら買うことのできるこの場所を求めてやってくる。
畑では収穫したてのとうもろこし、ナスをその場で生でいただきました。生のとうもろこしは、今まで何度か食べたことがあったけど、採れたてはこの日はじめて。甘くて、ミルキーで、でも後味はすっきり。そのあまりの美味しさに、それはそれは驚きました。この日いただいたのは、とうみぎ丸という、2017年に新たに『郡山ブランド野菜』に登録される品種です。(*訪問時にはまだ未発表)ナスも佐助ナスという、生で食べれるフルーティーなものを。見事にナスのイメージを覆してくれました。
畑で最後に「これなんだか分かるか?」と嬉しそうな表情で鈴木さんが見せてくれたのは・・・なんと、ビールの原料となるホップ!たまたま人づてに貰ったホップ種を蒔いてみたところ、手をかけずにも見事に育ったのだとか。「福島の郡山で育ったホップでビールを作って、自分たちの枝豆(グリーンスイート)をつまみに飲む。これ、最高でしょ?」と、密かな夢を教えてくれました。
今回の訪問を通じて教わったことは「美味しい野菜づくりは種選びからはじまっている」ということ。普段種に触れる機会が少なく、育った野菜の姿で見ることがほとんどのため、ついつい忘れてしまいがちだが、全ては種からはじまっている。畑には、いつも気付きや学びがあります。(文・写真/田中亘)
◎訪問時のその他の写真はこちら:https://www.facebook.com/media/set/?set=a.1830969156932547.1073741867.194399193922893&type=1&l=0fe530180f
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Farmer’s Mareketでは、Community Clubの活動の一貫として、今一度、原点ともなる種について、共に学び、話し、考えるきっかけとなる場づくりをはじめます。F1種、固定種、在来種・・・様々な情報が溢れる中で、意外にも種については知らないことばかり。まずは皆んなで一緒に、知ることからはじめてみませんか?
▼8/19(土)美味しさは品種選びから。楽しい食事はタネから始まる!Seed Talking Club.
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