「Cash or Square」Interview with BRØD|クリスティーナさん & ヘンリックさん

「Cash or Square」Interview with BRØD

K)クリスティーナ

H)ヘンリック

 娘、家族のために焼いたパンが「BRØD」のはじまりでした

Farmers Marketへの参加理由は?

K2021年の夏、いくつかのマーケットをリサーチしたのち、顔と顔を見合わせることのできるコミュニケーションに魅力に感じ、また、マーケット出店者さんたちのクオリティや環境への配慮がうかがえたので、出店を決めました。

・どのようなお客さんがいらっしゃいますか? 

クオリティをしっかりと評価してくれるカスタマーがいること

H)クオリティが高いものをつくるので、もちろんクオリティに比例して価格も上がってしまうのですが、ファーマーズマーケットのお客さんは、そこにしっかりとした考えを持っていて、その分の対価はいとわない姿勢を持っていたので、そこも惹かれた要因の一つでした。

・対面販売の魅力は何ですか?

必要なのは、マーケットでのリレーションシップ

H)お客さんは、私たちのストーリーに常に興味を持ってくれています。「どこにお店がありますか?」、「誰がつくっているのですか?」、「どんな小麦を使っていますか?」、「どうやって食べるのが美味しいですか?」といつも聞かれます。私は、「私の妻が今朝焼いたばかりのフレッシュなパンです」と伝えるのですが、そういったストーリーを伝えながら、焼きたてのフレッシュなパンを楽しんでもらえることが対面販売の魅力です。

K)「サワードウ」というパンは、あまり日本人には知られていないので、どんな味で、どんな食べ方をするのかをよく聞かれることがあります。あいにく、早朝からパンづくりをしているのでマーケットには立てませんが、それを広めていくことにすごくやりがいを感じています。

Farmers Marketの魅力を教えてください

新たなコラボレーションが生まれる場所

K)農家さんと出会えることもこのマーケットの魅力です。ここでオーガニック小麦などの材料に出会えることは、私たちの提案する新たなパンづくりの可能性を広げてくれています。フォカッチャにフレッシュなトマトを使ってみたり、いろいろとコラボレーションしていきたいと考えています。同じアティチュードで野菜をつくっている生産者さんと横並びでパンを販売できることは、私たちにとっても光栄なことですし、もっと広い視野で食の提案ができると考えています。

・キャッシュレスで変化したお客さんとのコミュニケーションについて教えてください

一方通行の発信ではなく、フィードバックをもらう場でもある

H)サワードウの食べ方を知らない方が多いので、キャシュレスで決済が手軽になったことで、食べ方を伝える時間ができました。「オープンサンドのように、少し薄めに切って、バター、チーズ、サーモンを乗せて食べてみてください」と、おすすめの食べ方を紹介しています。もちろん、こちら側からInstagramでそのような情報は発信していますが、一方通行ではなく、お客さんがくださる意見もすごく大切だと考えています。特に常連さんは、正直な意見をフィードバックしてくださいます。

K)お釣りを数える時間がなくなる分、お客さんとリレーションシップが増えるのは助かっています。デンマークから日本に来て、どのお店も現金だけという現状に驚いていたので、これを機にキャッシュレスが広まることを期待しています。

・実際にSquareを使い始めて、何が改善しましたか?

セキュリティだって大事な要素

H)マーケットは細かい金額の商品が多いので、カードが断然便利だと思います。毎月25日は給料日ということもあり一万円札が多いので、何度もお釣りをつくりにコンビニまで買い物に行っていました。

K)マーケット終了後に銀行へ入金するため、現金を持ち歩くことも多かったので、セキュリティ面に関してもすごく安全になりました。

H)カード決済はもちろん便利なのですが、毎週のマーケットでの売り上げや、どんなパンが売れているのかを分析できるところが一番の利点でした。

K)デンマーク大使館をはじめとしたイベント出店も多いので、そういう時のセールスがオンラインで一目瞭然に確認できることが時間短縮にもなりますし、私にとっては便利な点でした。

・「BRØD」立ち上げのきっかけは?

娘、家族のためにつくる北欧スタイルのパン

K)デンマーク出身の家族が仕事の関係で日本へ来ることになったのですが、なかなか北欧スタイルのパンに出会うことができず、また、給食のパンが娘のからだに合わなかったこともあり、家族のために自分でパンを焼きはじめたのがきっかけでした。北欧スタイルのパンが食べられるようになり、家族全員が喜んでくれたのですが、その噂が徐々に広まり、まわりからもパンを求められるようになったので、「BRØD」の立ち上げに至りました。

・事業をする上でのこだわりは?

等身大のストーリーを届けたい

K)デンマークの家族が日本に引っ越してきて、日本ではなかなか出会えなかったライ麦パン「サワードウ」を家族のためにつくり、届けている。そんなストーリーを等身大で日本のお客さんにも伝えていくことが、私たちのこだわりです。

これまでは、ドイツやイタリア、アメリカの小麦を使用していましたが、できるだけ国内の、日本の農家さんがつくる小麦を使っていけるよう、新たなチャレンジをしているところです。

・事業を維持させている秘訣は何でしょうか? 

Less Mistakes, Better Service.

H)投資銀行で投資をしていたクリスティーナの前職での経験から、パン屋をつくるときもりリサーチを欠かさなかったことが役立っていると思います。全て必要なことは完璧に調べ上げてから行動する、そういう彼女のパーソナリティもあり、お店を始めて決済サービスをリサーチしてからは、Squareともすぐに出会うことができました。

K)顧客をハッピーにさせることがビジネスを続ける一番の秘訣だと考えています。ハイクオリティでありながらも健康に良く、環境にも配慮されている。Less Mistakes, Better Service. Squareがあればミスも少なくなるので、ヘンリックが言うように、お客さんとより良いコミュニケーションを図ることが継続する上で大事な要素になっていると思います。

・今後の事業においての目標、挑戦したいことは?

K)いろいろなマーケットで販売をしてみたいと思っているのですが、すべて私たちが現場へ行って販売するわけにはいきませんし、クオリティを担保する上で私たちの信じているミッションと同じものを持ったスタッフに立ってもらわなければなりません。そこでは、お金の管理も関わってくるので、Squareのシステムは欠かすことができないものになっています。

工程がシンプルになった分、スタッフ育成に時間を充てることができる

H)一緒に働くために同じマインドを持っていることはもちろん大切ですが、大きな金額を現金で扱うとなると、どうしても障壁となってしまう。そこをSquareがクリアしてくれますし、お店が大きくなっても、私たちのミッションを伝えるための間をつくってくれます。

K)最近は、もう少し大きな工房が必要だと感じているので、カフェや本屋などが一体となったコミュニティベースの空間に新しい工房が構えられたら楽しいだろうなと想像を膨らませています。いつか北欧スタイルのパン教室もやってみたいと思っています。

H)北欧では、健康や環境に配慮した自転車でのデリバリーが盛んなので、私も工房からそのようにデリバリーしているのですが、距離の遠いお客さんもいらっしゃるので、郵送しなければなりません。工房でのピックアップも行っているのですが、いつも言われるのは「お店はどこにありますか?」ということ。将来はお店を大きくして、フラッグシップとなる店舗をつくるのが私の夢です。

・思い描く理想のファーマーズマーケット像について教えてください。 

若いジェネレーションに届くことが一番の近道

K)日本の人々は現金に思い入れがあるのかもしれませんが、キャッシュレスが広がることでマーケットはシンプルになりますし、お客さんと出店者、双方にとって良いことだと思っています。既に、ファーマーズマーケットが自然にやさしく、食に興味を持ったクオリティの高いお客さんが来てくれる、私たちの応援したいマーケットにはなっているのですが、日本ではまだまだオーガニック食材を手にいれることが難しいのが現状。時間はかかっても、徐々に環境への配慮やプラスチックを極力減らしていくチャレンジ、本当の意味でクリーンなマーケットが増えていくことを願っています。

H)クリスティーナがまだ時間がかかると言っていましたが、若いジェネレーショにそういった風景が届くことが一番の近道だと思っています。

Instagram:https://www.instagram.com/brod.jp/


2022.7.23

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