シェフ × 旬の食材がもたらす、食の魅力。「FRESH LIVE KITCHEN」アフターレポート 「Night Market」編【Part.2】

毎週末、新鮮な食材が農家さんたちから届くファーマーズマーケットにシェフ自らが赴き、旬の食材と食の魅力をライブ感あふれる料理とともにキッチンカーから提供する「FRESH LIVE KITCHEN」。新たにスタートした当企画の記念すべき第1回目のゲストにお迎えしたのは、真夏の会場に鮮烈な香りとフレッシュな料理を届けてくれた、内藤千博シェフ率いるNight Marketチーム。今回は、農家さんとシェフとの“心の通った関係”から生まれた料理を振り返るアフターレポートとして、ファーマーズマーケットスタッフの田中と北城がオープンしたばかりの内藤さんの店を訪ね、料理のポイントとともに実施に至るまでの経緯について伺った。Part.1に続く、Part.2をお届け。

シェフ × 旬の食材がもたらす、食の魅力。「FRESH LIVE KITCHEN」アフターレポート 「Night Market」編【Part.1】


“マーケットに通うなかで、選択肢の幅がより広がった”


北城:内藤さんは、L’Effervescence時代から畑へ赴いたりと、農家さんとのコミュニケーションを常に大切にされてきたと思いますが、いまもそれは変わらない部分ですか?

内藤:L’Effervescence時代はもうかれこれ7、8年以上前のことになるので、いまはどうかはわかりませんが、少なくとも当時は、ヘッドシェフの生江シェフが実際に畑で顔を合わせて選んだ食材しか使わないという時期がありました。そういった食材を見るために、「みんなも畑に行ったほうがいい」と生江シェフから勧められたりしながらファーマーズマーケットにも通うようになりましたし、モダンベトナミーズレストランでヘッドシェフとしてキッチンに立つようになったĂn Đii時代には、料理に使いたい食材を自分で自由に判断して選べるようになったこともあり、マーケットに通うなかで、選択肢の幅がより広がったというのはあります。Night Marketでは、さらにマーケットとの距離が近づきましたからね。

北城:そういった農家さんとの関係値もあり、“ファーマーズマーケットの近所”という立地を選ばれたのでしょうか。

内藤:もちろん、それも一因でした。Night Marketの物件を探していたときに、内装をお願いしたチームの知り合いの方が偶然この物件を見つけてくれたんです。

北城:偶然だったんですね。

内藤:Night Marketという店のアイデアは以前から温めていたのですが、やっぱり場所の属性といいますか、立地も料理を楽しんでいただく上では大事な要素なんですよね。なかなかいい物件が見つからず苦戦していたんですが、この物件が見つかり、偶然にもファーマーズマーケットや田代シェフのラ・ブランシュも近所だった。それでこの物件に決めたんです。

田中:田代シェフもそうですが、ファーマーズマーケットで毎週末シェフの方々と朝の挨拶を交わすような関係性がとても心地良いと思っているんです。当然、マーケットと距離が近いことでレストランとしてのメリットもあるわけですよね?


内藤:食材が調達しやすくなるとか、すぐに持ち帰れるといった利便性はもちろんありますが、今回は距離がぐっと近くなったことで、Night Marketチーム全員でマーケットに足を運べるようになったんです。そうすると、これまでは仕込みをまわすために若手チームが店に残らざるを得なかったのですが、その必要もなくなり、彼らもまた農家さんと新たな関係性を築けるようになりました。

 


“ファーマーズマーケットが、ただ食材を買うための場で終わってしまってはもったいない”


北城:FRESH LIVE KITCHENではキッチンカーで料理をつくるわけですが、レストランのキッチンとは異なり、不便なことも多々あるかと思います。レストランと家の中間ではないですけど、そういったマーケットでの環境下で料理を提供することにどのような意義を感じていますか?

内藤:万全に仕込みをして、自分たちが描きたい料理を実現するために100%力を注ぎ込める場所がレストランではありますが、キッチンカーという限られたスペックで料理を提供することで生まれる工夫や、マーケットにいらっしゃる方々を想像することで新たな料理のヒントにも繋がっていく。ファーマーズマーケットや出店いただいている農家さんには、これまでにも多くのインスピレーションをいただいてきましたし、僕自身すごくお世話になっていて、大袈裟に言えば、農家さんへの恩返しでもあるんです。それに、ファーマーズマーケットが、ただ食材を買うための場で終わってしまってはもったいない。もっと人と人とが繋がれるようなことが起きればいいなと思っていたので、僕らの料理がマーケットや料理の楽しさを伝えるひとつのきっかけになれば嬉しいですよね。

北城:Green Basket Japanの加藤さんもズッキーニのフリットを食べてから、家で真似してヨーグルトソースをつくってみたそうなんですが、「すごく簡単にできたし、みんなもやるべきだ!」って言っていて。この企画を通じて食の楽しみが広がっていくといいですよね。

内藤:誰も真似できないような難解なことはしていないですし、ちょっとしたアイデアや工夫で一段階上の料理をつくることができる。キッチンカーという新しい表現の場でライブ感をもって旬の食材を使用することで、そういった気づきが料理の楽しさに繋がっていく。それがマーケットを盛り上げることにもなると思うんです。

北城:そういったシェフの視点がわかると、マーケットでの買い物の仕方や楽しみ方がまだまだあるということに気づかされます。

内藤:こうした余白と人とのコミュニケーションが、これまでも多くのインスピレーションに繋がったので、この食材がほしいという目的があってマーケットに行くのはもちろんですが、半分はカバンを空けておいて、農家さんのおすすめ食材を買ってみるのもファーマーズマーケットならではの楽しみ方だと思うんです。

田中:こうやって振り返ってみると、多くの学びがありますね。今後も「FRESH LIVE KITCHEN」を続けていくのですが、次回のシェフを『笑っていいとも!』のテレフォンショッキングではないですけど、内藤さんから数珠繋ぎで繋いでいくのはどうでしょう?

内藤:面白いですね。では、仲がいいというのもありますし、野菜を活かした料理が得意というのもありますけど、何よりも普段からファーマーズマーケットに足を運んでいる「TOUMIN」の井口和哉シェフがいいのではないでしょうか。ラ・ブランシュの田代シェフも頭に浮かんだのですが、僕が声をかけるには恐れ多くて(笑)。

田中:田代シェフにもいつかお願いしたいですが(笑)、次回は井口シェフにお願いしてみようと思います。今回は夏場の実施となりましたが、改めましてありがとうございました。季節が巡るなかで旬の食材も移り変わっていきますので、また次回ご一緒できる日を楽しみにしています。

内藤:「FRESH LIVE KITCHEN」、今後も楽しみにしています。Night Marketはランチタイムも営業しているので、ファーマーズマーケットの休憩時間にも食べに来てくださいね。では、また週末のファーマーズマーケットで。

 


FRESH LIVE KITCHEN with Night Market 2025.6.28-29
【FOOD】
◼︎冷製きゅうりスープ  
:きゅうり…やまきぬ ぷち のうえん
:プチトマトのハーブマリネ…やまきぬ ぷち のうえんBASIL HOUSE 

◼︎厚揚げとビーツ、すもものソムタム
:厚揚げ…昔のとうふ屋さん 小の久 
:ニンニク…かまた商店
:すもも…菊島西洋堂東支店
:ビーツ…Ome Farm 

◼︎ズッキーニのフリット ヨーグルトソース
:ズッキーニ…Green Basket Japan 
:デュカ…東京スパイスハウス
:イエルバブエナミント…53farm
:パッションフルーツ…あめつち青果店

◼︎チェンマイソーセージ
:葉物…自然農園Tom
:マイクロきゅうりと赤玉ねぎのピクルス…Green Basket JapanOme Farm 
:バジル…BASIL HOUSE 

◼︎冷製トマトのフォー とうもろこしの天ぷら
:トマト…やまきぬ ぷち のうえん
:とうもろこし…53farm
:バジル…BASIL HOUSE 

◼︎豆腐とココナッツミルクのパンナコッタ 桃とラベンダーのソース
:豆腐…昔のとうふ屋さん 小の久 
:桃…53farm
:ラベンダー…ラヴァンドの小径

 

【DRINK】
◼︎バジルスマッシュ
:バジル…BASIL HOUSE 



内藤千博
1983年、埼玉県生まれ。言わずと知れたフレンチの名店「L’Effervescence」でフレンチの技術と生産者との関係性を学び、2018年、外苑前のモダンベトナム料理店「Ăn Đi」の料理長に就任。ハーブを多用しながら、香りを軸に味とテクスチャーが織りなす美しい料理で「モダンベトナミーズ」を確立すると、今日までに多くの食通を魅了し、創作料理を通して新たな食体験を提供している。2024年に日本橋兜町にて「Just Pho You」、次いで2025年7月に表参道にて自身のレストラン「Night Market」をオープンさせた。

 

Night Market
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷2丁目6−6 COERU渋谷イースト 1階
03-6433-5516
OPEN:11:30〜14:00、17:30~23:00(L.O. 21:00、定休日:月) 
https://nightmarket.tokyo/
Instagram

 

Interview:Wataru Tanaka, Nanami Hojo
Words, Edit & Photos:Jun Kuramoto

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