山形/渡辺農園

山形/渡辺農園

渡辺農園さんの畑は、サクランボの一大生産地である山形県寒河江市の標高約450mの高原にあります。寒暖の差が大きいことは、甘みの強いサクランボを生産するための必須条件。今から約50年前にサクランボの生産を始め、現在のご主人の代になってから16年、インタビューに応じてくださった奥様が嫁いでから10年。青山ファーマーズマーケットが始まった初回から毎年ご参加いただいています。
 
サクランボ作りは闘いの連続
お話を伺って一番に感じたのは「サクランボ作りってこんなにも大変なのか!」ということ。日持ちがしなくて、傷みやすい。デリケートで、扱いには細心の注意が必要。クール宅急便での配送も、車内の空調の当たり方によっては、実が黒くなってしまうほど。収穫後の取り扱いの難しさに加え、生産段階からありとあらゆるものと闘いの連続。まず天候。雨、強風、日焼け、サクランボにとっては、全てが大敵。「雨が当たると、実が割れてしまうため、雨よけが必須。風で、葉っぱが実を擦ると傷んでしまうし、台風が直撃したら、大切に育てたサクランボも一発アウト」とのこと。気候の影響を受けやすく、その年の気候によって出来が大きく変わってしまうため、年によっては全く出来ないこともあるんだとか・・・設備投資に莫大な費用がかかるため、経営も不安定になりがち・・・「ある意味、博打をしているようなものですね」という、奥様の言葉に思わず深くうなずいてしまいました。
 
看板商品の佐藤錦の生産には、他種のサクランボの花粉が必要となるため、佐藤錦以外の品種も同時に栽培しているそう。受粉には、蜂を使いますが、しっかりと受粉をさせるために、人の手でも丁寧に受粉させます。美味しいサクランボを狙う虫やクマ、ハクビシンなどの天敵にも要注意。寒さの厳しい冬場の積雪は3〜4mにもなり、雪でサクランボが潰れてしまわないよう、高原の斜面をスノーモービルで下り、雪下ろしに向かいます。「スノーモービルって農作業具なんですよ」と、奥様の衝撃発言!
 
収穫期には忙しさもピークに。虫がつく前に一気に収穫をしてしまわないといけないので、一日中大忙し。収穫したら、さらにそれを選別し、梱包していきます。化粧箱にビシッと詰められた宝石の様なサクランボをご覧になったことがあるはずです。大きさが1mm違うだけでも梱包に影響するそうで、これはとても技術のいる作業なのだそうです。
 
サクランボへのこだわり。完熟の美味しさを届けたい
このような大変な環境の中でも、美味しいサクランボへのこだわりは忘れません。「安心安全なものを作るため、農薬の使用はできる限り、必要最低限に抑えています。それから独自の肥料を作ったり、土壌に塩などのミネラルを撒いてみたり、美味しいサクランボを作るための土壌研究も行っています」とのこと。「やっぱり、完熟の美味しさを味わって頂きたいです」と奥様。真っ赤に熟れた艶やかなサクランボは、一粒で濃厚な甘みが口の中にジュワッと広がり、思わず笑みがこぼれる美味しさです。お客さんの「美味しい」という言葉を直接聞くことができるのが、青山ファーマーズマーケットでの一番の喜び、とのお話も。一粒のサクランボに、これだけの努力と想いとこだわりが込められていたなんて・・・思わず目の前のサクランボに手を合わせたくなりました。渡辺農園さんのこだわりが詰まったサクランボ、お楽しみください。
 
渡邉農園:http://sakuranbojapan.com/