最後は人で買ってもらう―Green Basket Japan・加藤かいさん

神奈川県南足柄市を拠点に、オリーブや西洋野菜を栽培し、長年ファーマーズマーケットに出店。近隣のシェフや常連客に愛されている「Green Basket Japan」代表の加藤かいさんにインタビューしました。

ー加藤さんは、もともとIT会社を経営して、かなりハードに働かれていたんですよね。

加藤さん: そうですね。企業の会計システムを扱っていたため、決算期になると夜中のトラブル対応に追われたり、とにかく夜勤が多かったです。身体のことも考えると、「一生続ける仕事じゃないな」ってずっと思ってたんです。

 

ーそこからなぜ農業の道に進まれたのでしょうか。

加藤さん: 実家の農地をどうしようか、という話が出たのがきっかけです。何より農業なら「スタートからゴールまで全部自分の責任で形にできる」と思った。自分の腕一本で生きていける世界に惹かれたんだと思います。

ー加藤さんは野菜ごとに育て方を変えるようにしていると伺ったのですが、最初から今のやり方で農業を始めたのですか?

加藤さん: いえ、最初は「肥料や農薬を使わないこと」にこだわっていました。でも、やっていくうちに「余計なこだわりを持つことが、アップデートを邪魔してるんじゃないか」って気づいたんです。 

 

ー具体的にはどういうことでしょうか。

加藤さん: 痩せすぎた土であればそれを戻すために、適切な栄養(堆肥や米ぬかなど)を与えるようにしています。農薬に関しても今はオリーブの栽培以外には使わないようにしているけど、そのスタイルも長年の試行錯誤の結果としてある。

子供を育てたり、次世代に繋いでいくためには、金銭面でも畑の環境面でも持続可能でなければならないし、「自然に任せて栽培するから形が悪くてもいい、高くてもいい」ではなく、プロのシェフでも「美味しいから使いたい」と言ってくれる野菜を、安定して届けることが大事。それが僕の今のスタンスです。

でも、こういう細かい栽培方法や農法の話は普段お客さんにすることは無いです。最終的には、人で買ってもらうことが大事だと思っているから。この人が売ってるものなら信頼できる、って。

ーこのマーケットに10年ほど出店されていますが、最初の頃のことは覚えていますか?

加藤さん: 最初の1年半は、もう毎回赤字(笑)。周りにはすごいファンを抱えている農家の先輩たちがいて、自分の野菜なんて全然見向きもされない。

でも、そこですぐに諦めなくてよかった。諦めずに続けていたら、今は毎週買いに来てくれるお客さんがついてくれたから。

 

ー最後に、加藤さんがこれから目指すものを教えてください。

オリーブ、野菜はもちろん、最近つくり始めたオリーブビールなど、僕たちの作るものの価値をもっと多くの人に知ってもらいたい。ここでずっと挑戦し続けたいと思っています。

インタビューを終えて

野菜のおいしさを大事にしながら、どうすれば農業を事業として成立させ、家族を守り、次世代に繋げられるかを真剣に考えて実践する姿勢が「Green Basket Japan」が長くマーケットで活躍し、愛され続けられる秘訣だと感じました。
ちなみに、新作のオリーブビールはとても美味しかったです。夏場は毎週販売中とのことですので、ぜひお買い求めください!

Green Basket Japan(グリーンバスケットジャパン)

HP:greenbasketjapan.com
Instagram:@green_basket_japan

Photos:Jun Kuramoto
Words:Hayato Yamane


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