千葉/自然農園TOM

千葉/自然農園TOM

成田空港からすぐの所に、その畑はある。その畑に行くと、戸村さんの手が行き届き、丁寧に、農業されている感じが伝わってくる。畑で話を聞いているとき、普段、何気ない話しをしているとき、戸村さんはこう言う。「それは不自然ですよね」と。日々、自然に向き合っている方の「不自然」という言葉には重みがある。自然か、不自然か。その哲学が、全ての根底に流れる。
 
自然との対話の中で、美味しい野菜に出会うと、一番嬉しい
「自分は、こういう育て方をしているから、絶対に美味しいなんていうのは間違い。雨の量、気温、湿度、自然の条件は、毎年違う。それによって野菜の味も変わる」と言葉を漏らす。「日々、変化を感じながら、少し早くタネを蒔いたり、早めに収穫したりする。そういった自然との対話の中で、美味しい野菜に出会うと、一番嬉しい。もう自己満足だね」と笑顔をこぼす。自然は巡る。五感で畑を感じ、そっと手を差し伸べてあげる。自然から野菜をいただくために。
 
自然にそっと寄り添う畑。大きな樫の樹が自然と畑を育ててくれる 
もう畑を出ようとしたとき、一枚の落ち葉が、目の前を落ちる。「農業を始めたばかりの頃は、こうして落ち葉が落ちていくのも全然見えなかったんです」とポツリ。その落ち葉の下には、畑の脇にある大きな樫の木が、実を落としている。その実が、土に還り、土を育て、野菜を育てている。この畑は、自然に寄り添っている。不自然ではなく、自然にそっと寄り添っている。
 

  
インタビュー/慣行栽培から化成肥料不使用、農薬不使用栽培へ
代々農家で、始めは慣行栽培での農業。ある日、水俣病の患者さんの団体が畑見学に来られたそう。その頃は、まだ化成肥料を使っていて、しかも、いまのような複合肥料ではなく、単肥肥料。畑の脇には、肥料として「窒素」が山になって置いてあり、その製造工場には「水俣」と書いてありました。水俣工場でつくられた窒素。それはまさに、水俣病の原因をつくってしまった工場。その情景をマジマジと見て、衝撃を受けました。それがきっかけとなり、化成肥料不使用、農薬不使用の栽培を考え、実践するように。今では、鳥や虫も一緒に畑で暮らしています。
 
その当時は、成田空港問題で、さまざまな人が、この辺りを行き来し、さまざまな出会いがありました。その時代には珍しいくらい流動的で、新しい風が入り込んできていました。本当に大変な時代だったけれども、その時期に、新しい動きへのタネが播かれていたように思います。自分の畑の周辺では、有機農業へチャレンジし始める農家さんも出てきていました。その頃は、有機農業だって、まだまだメジャーではなく、その時代にしては、かなり先進的だった。それが出来たのも、成田空港問題があったからこそだと思います。新しい風が吹き込んていたからですね。
 
インタビュー/鳥さんや小動物さんがくらす自然に寄り添う畑を
最近は、鳥さんや小動物さんたちがいっぱい来る畑をつくりたいと思っています。色々と人生がある中で、自然界に生きている彼らが、自分の畑で野菜を食べたり、いたずらするのは、より安全で、健康で、美味しいから。やさしく、時にはきびしく、ふれあいは面白いですよね。昔は、農薬を使わない栽培で、野菜を育てる農家さんは少数で変わり者でした。大きな生産組織につぶされてしまいそうだったりもしました。安全な野菜を育てるという決意とこだわりがなければ当時はチャレンジすら出来ませんでした。いまは、日本中どこでも農薬不使用の栽培を目にするようになった。長い時間をかけて、こだわりが当たり前になったのが嬉しいです。初心を忘れずに、今後も農業に励みたいと考えます。
 
初心を忘れないためにも、また確かめるためにも、青山ファーマーズマーケットに出店して、スーパーに無い(農法・品種・規格面で珍しい)自分の育てた野菜が、どのような評価を受けるのかを知りたかったんです。対面式なので、野菜を通じて、町(消費)と村(生産)の新しい関係が、一歩ずつ見えてくれば楽しいと思っています。こうしてフットワーク軽く動けるのも、若い頃に色々な人と触れ合ったからだと思います。これが、もっと地元意識の強い、閉鎖的な場所でずっと暮らし、農業していたら、ものすごい抵抗感だったと思います。いま様々な食生活がある中で、食材の選択は自由です。どこで売られていようが、ホウレンソウはホウレンソウです。違いは、どのような畑で、どのように育てられたかであり、そこが大きな問題だと感じています。食材は、人間の体の中を通りすぎていくものだからこそ、その違いを感じて欲しいと思っています。
 
インタビュー/青山ファーマーズマーケットに出店して感じたこと、見えたこと
野菜を育てることは得意だし、ある程度自信があるけれども、その野菜を売るとなったらまた別です。最初は、お客さまの目を見て「いらっしゃいませ」すら素直に言えない自分がいました。青山ファーマーズマーケットに出店するようになって、自分自身の傲慢さに気づかされました。考え方は人それぞれ。対面販売の良さを生かして、もっとお互いの考えを共有し、尊重しあえればと思っています。農家さん個人個人で、いろいろな状況下に置かれていて、大変な方ももちろんいると思うけれども、こういった青山ファーマーズマーケットのような場所に参加して、普段にはない風に触れることも重要ではないでしょうか。周囲との関係性もあるので、問題は単純ではないが、農家さんははもっと積極的にこういう場に参加した方がいいと感じています。
 
たとえ大変でも、体が喜ぶことを。自然のあるがままを受け入れて「自然農園TOM」[野良的生活のススメ]

栽培方法 水耕栽培 土耕栽培
肥料 化学肥料 有機肥料(購入) 有機肥料(自家製) 無肥料
雑草対策 除草剤 手刈り 放置 その他
病害虫対策 殺菌剤 殺虫剤 手潰し その他
種苗会社より購入 自家採種
メッセージ

なるべく植物性のもののみで、畑の外からものを持ち込まずに土づくりを行っています。農薬を使わないので虫も出ますが、ほとんど自然まかせです。