移動養蜂家/日本食品

移動養蜂家/日本食品

『農家と連携する養蜂』
 
スペイン北部、アルタミラ洞窟。そこにある壁面に、はちみつの採取風景が描かれているように、はちみつは人々に古くから利用されてきた、最も古い食べもののひとつ。そのはちみつを採取するみつばちの養蜂を通じて、有機JAS認証を受けた農家を中心につながり、農業と養蜂のお互いに良い循環を生んでこうと取組んでいるのが、日本食品さん。農家はみつばちで、果樹や野菜の受粉をし、その収穫を促す。日本食品の横山さんは、その農家で蜜を集めたみつばちから、はちみつを採る。はちみつはは花が無いと作れないし、花もみつばちがいないと受粉できないものもある。特に、苺は綺麗な形の果実を育てるにはみつばちによる受粉が必要になるのだそう。また、そばも花が受粉するのにみつばちや人の手が必要になると言います。まさに、農と養蜂の連携。そのために、こうして、みつばちと自然と共生し、良い農家とつながることが横山さん一番の楽しみなのだそう。
 
収穫されたはちみつは、熱処理を加えず、酵素が生きたままの状態で保存。そのはちみつには、『香りを中に隠す』という性質があり、人の体温と同じ36℃前後で香りがではじめるのだそう。例えば、さくらの花のはちみつは、あたたかい紅茶に溶かすと、その湯気や口に含んだときに、さくらの香りを楽しむことができると言います。また、くせのないクローバー、夏の花々のはちみつはグリーンスムージーに入れたり、お酢とまぜて、ブラックペッパーを少し加えてサラダのドレッシングに。意外にも、野菜との相性も良いそうです。
 
▼季節の商品紹介
さくらのはちみつ:4月
みかん、りんごのはちみつ:5月
アカシアのはちみつ:6月
熊水木のはちみつ:6,7月
クローバーのはちみつ:6-8月
牧場の花々のはちみつ:6-8月
菩提樹のはちみつ:7月
そばのはちみつ:7-10月

インタビュー

『総合商社勤務から、ミツバチの重要性を知るまで』

かつては総合商社に勤めていて、その後に、健康食品などを扱う問屋で働いていました。その会社で働いているとき、今から35年以上も前から、有機JAS認証を持つ農家や自然農法で育てられた野菜の、地道な普及活動をしている会社の方と出会いました。そうした中で、ミツバチによる〝花粉交配〟が、多くの農産物を育てるのに大きく役立っていることを知りました。でも、ミツバチは虫なので、農薬を散布してしまうと、生きることができないんです。その存在は農家にとって重要であるのに、そうした問題点があまり理解されていない現状があります。ミツバチにとって住みやすい環境である、〝農薬を控えた農業〟をしていくことが、結果的に農家の方にとってもメリットになるということを、当時働く中で知りました。

『農家にも、ミツバチにも良い環境をつくる』
そこで、2009年に、問屋として〝仕入れて売る〟だけではなく、自らミツバチを育て、それを農家の方に提供し、もっと直接つながっていこうと考えるようになり、日本食品を設立しました。そのときに、先ほどの農家とのつながりを持つ会社の方に協力していただき、有機JASを持つ農家や、自然農法など環境に配慮した農家の方にミツバチを提供することにしました。これによって、農家にはミツバチの花粉交配によって農産物ができ、私たちにはミツバチにとって住み良い環境と、蜜を得ることが出来ます。このようにして、現在も、養蜂と農家の連携をもっと強めて、共に協力していけるように、活動をしています。

秋田県の広大な蕎麦畑と風力発電用の風車
写真上:秋田県の広大な蕎麦畑と風力発電用の風車

『ミツバチと、これからの日本の農業』
今後、農薬を使用した海外の安価な野菜が日本に今以上に輸入されることになると思います。そうした流れの中で、日本の農家としてできることは、国内で安心・安全と呼べるものを育てていくことだと考えています。そのためにはやはり、農家の方々と私たちなどの養蜂会社が協力していく必要があると思います。海外のような、単品の大量生産はできませんが、そのかわりに、小規模ながら、ミツバチの花粉交配の力を借りて、多品種の作物を、可能な限り農薬を使用せずに育てていく。そこに、これからの日本の農業の可能性を見いだせるのではないかと思っています。

石垣島のヤシの葉竹の養蜂場
写真上:石垣島のヤシの畑の養蜂場の様子

『養蜂を通じて、石垣島に産業を生む取り組み』
例えば私たちのミツバチを提供した農家で出た作物の余剰分を、採れたハチミツを使って加工してもらうなどして販売し、限られた土地を、養蜂と農家でお互いにできる限り有効に使っていきたいとも考えています。そこで、今取り組んでいることとして、沖縄の石垣島に養蜂場をつくりました。ミツバチは冬場、暖かい土地を求めて越冬し、数が減ってしまうため、一年中卵を産めるような環境として、石垣島に移動しました。そこでも、花粉交配の力を借りて、果物や野菜を育てます。また、暖かく、ミツバチが年中活動できるので、そのことを利用して、石垣島のようになかなか産業が栄えないような場所に、養蜂と農業を連携させて産業を生んでいこうと取り組んでいます。

国産蜂蜜展示風景
写真上:国産ハチミツの展示風景

『ハチミツに関する事実と情報を、自分の言葉で届けたい』
私たちは成分の分析結果を店頭に掲げ、数値に裏付けられた安心・安全と呼べるハチミツを産直で届けるために、環境に配慮しながら養蜂をしている自分たちの活動を、直接お客様に伝えたいと考えています。市販のハチミツと、私たちのハチミツと、一体なにが違うのか?ということを、お伝えできればと考えています。例えば、現在日本のハチミツの3大輸入先であるアルゼンチン、カナダ、中国ですが、それらのハチミツには遺伝子組み換えの植物から採れたものが混じっています。それが良い、悪いということではありません。事実を情報として、まずはしっかりとお客様に届ける必要があると思っています。自らの活動を直接伝える傍ら、あまり知られていないそうした情報を、対面販売の場で、自分の言葉でお客様に届けていきたいです。その上で、『では、自分はどうするか?』と判断していただけたらと考えています。

『熱処理のされていない、〝酵素の生きたハチミツ〟を味わってほしい』
私たちは、熱処理や、濃縮のされていない、酵素の生きたハチミツを食べていただき、市販されているハチミツとの違いを知っていただけたらと考えています。その違いは、食べていただいたときに分かります。熱処理されていたり、濃縮されたハチミツは、生きている酵素が死活しまっているため、ほとんど甘味料と同じになっていまっており、口の中に甘さが残ってしまいます。一方、熱処理されていないハチミツは、口の中でスッと甘さが引きます。また、糖分が既にミツバチの体内で単糖として分解されているため、人の体に入ったあとも、素早くエネルギーとして吸収されるようになっています。実際にハチミツを食べていただき、こうした情報も、対面販売で伝えていきたいです。

石垣島の台風よけの為の養蜂場と防草シート
写真上:石垣島の台風対策をした養蜂場と、防草シート

『草は生やさず、ミツバチに合った花を生やす』
ミツバチがいる場所は花があった方が良いので、除草剤を使うことはありません。ただし、防草シートを使用して、大きな雑草を生えないように雑草対策はします。その後、ミツバチに合った花のタネを蒔きます。それはアカシア、レンゲなどで、〝蜜源植物〟と呼ばれるもので、その名のとおりミツバチが密を採るための植物です。

『防虫剤ではなく、〝忌避剤〟を使う』
ミツバチが死んでしまうので、防虫剤は使用しません。ですが、ダニの駆除のために、オーガニックの忌避剤で、農水省の基準を満たしたものを使用しています。忌避剤は、殺虫剤のようなものではなく、ダニの嫌う匂いを発して、寄せ付けないようにするものです。殺すためのものではなく、匂いによって逃がす役割を果たしています。