富山/宮本みそ店

富山/宮本みそ店

生まれてからずっとじいちゃんばあちゃんの味噌を食べていたのに・・・
創業者であるうちの祖父母は、夏は農業、冬は町の小さな味噌屋というスタイルを50年以上たった2人で続けてきました。じいちゃんばあちゃんっ子だった僕は、物心つく前からそこで面倒を見てもらっていました。22歳からは本格的に味噌造りも習い始めたのですが、時代の流れとともに味噌の注文は年々減少、いよいよ祖父母の力も弱くなってきたある日、もうこれ以上味噌屋を続けていくことは不可能だと急に2人が言い出したのです。味噌屋だけではこの先の時代生活していけない、だから店をたたむんだと。生まれてからずっと宮本みそを食べていたのに、そうか、これからはスーパーで味噌を買うのか・・・このまま味噌屋を続けてたとしたら、ちゃんと生活していけるのだろうか・・・
 
雪景色に浮かぶお客さんの背中。その背中が決心させてくれた。
そんな話が出ているとは露知らず、昔から注文をしてくれていたお客さん(おじいさんおばあさんが殆ど、長い人は50年前からずっと)は、雪の降る中いつものように仕込みの注文にやって来ます。身体が辛いはずの祖母は、それでもににこにこしながらお客さんの注文を細かく聞いている。お客さんもまた1年分の味噌が確保できたと満足そうにしている。腰を曲げ、ひょこひょこ歩いていくその後ろ姿を見た時、本当に困るのは僕らじゃない、毎年楽しみに来てくれるお客さんに申し訳なさすぎる・・・と思ったのです。辞めるのは簡単、とにかく続けてみよう!ここまで50年以上、お客さんの為に続けてきた祖父母の気持ちを考えた時は、もう迷いはありませんでした。
 
食の透明性。自分で出来ることは自分でやる。
原材料は地元のものを使う。糀に使用する米は自家製米を使う。新たな商品を生み出すときは、自分で育てた材料でやってみる。昔ながらの製法にこだわり、仕込みは全て手作業で。苗を植えるところ、種をまくところから始まり、仕込みを経て熟成させるまでのプロセス、配合比や塩分濃度、酵素活性数値まで全てをクリアにした嘘のない商品を提供しています。
 
20150905-1024x1024
 
真の豊かさとは何か。日本食の原点とは何か。
世界遺産にも登録された「和食」の良さ、それが日本人に一番合った食事スタイルだということを今一度再認識してもらいたい。日本食の原点でもあり国菌として指定されている「麹」を通して、農業の大切さ、米作りの重要性、味噌が作られるまでのストーリーや必要性、日本の食文化の在り方を多くの人に伝えたい。真の豊かさとは何かを皆で、考えて共有したい。
 
いただきます!ごちそうさま!あの人のためにわざわざ食卓を設える。
今の世の中、効率やを求めいかに簡単に事を進めればよいかという表面的なことが重要になり、中身や想い、背景といった本質的なことが蔑ろにされている気がします。食事でいえば時間がないから朝はパンとコーヒー、昼は忙しくて食べず、夜は外食、スーパーの惣菜・・・といったような。。なんだか冷たく寂しいです。。煮物が好きなうちの子に昼からコトコト時間をかけて作ってあげようとか、外で働くおとうさんに、今日は寒かったから身体の温まる豚汁を作ろうかとか、「誰かのためにわざわざ」というのが食事の良い所の一つであり、大切なことなのではと。1人で食べるより、大勢の方が料理も美味しくなります。そこに家族の温もりが詰まっています。食卓はあたたかくなくてはいけない!今のままだと今後ますます一家団欒というものが消えていくような気がして、すごく寂しい気持ちになります。家族そろって「いただきます」と「ごちそうさま」をちゃんと言うこと。感謝の気持ちを忘れず、自然の恵みをありがたく頂戴する。そこに質は問いません。日本食の基本となる炊きたてご飯と温かい味噌汁さえあれば!それに漬物でもあれば十分です(笑)
 
宮本みそ店:www.miyamotomiso.jp
 
IMG_2170_1024