東京/mellow vege

東京/mellow vege

 

真夏のファーマーズマーケット、眩しく弾けるような野菜が並ぶ一角がある。

青山国連大学から車で1時間。東京は西多摩郡 瑞穂町で、無農薬・無化学肥料の野菜づくりに汗を流す野元さんと井上さん。少しずつ手間をかけて育てられた、豊富な種類の野菜は「Mellow Vege」その名の通り豊かで美しく、前を通る人は皆足を止めていた。Mellow Vegeのメンバーは野元さん、井上さん、田口さんの3人。瑞穂町でそれぞれの屋号で野菜を育てている。

 

「東京」で農業をはじめる

素敵な眉毛が特徴の野元さんは元々サラリーマン。農家だった親戚のおじいさんの不幸を機に、後継ぎとして就農を決めた。2014年より瑞穂町の「満天ファーム」で研修後、瑞穂町で「ろうそく屋ファーム」を運営しながら「自分で食べたいものを自分で育てる」をコンセプトに野菜づくりをしている。

優しい瞳の井上さんは、高校卒業後、一度サラリーマンを経験。脱サラ後、茨城県の農業専門学校に入学し、関東で就農するため東京や千葉、長野など日本各地の農家を訪ねてきた。立川の農家のもとで「地にあったもの」を作ることを学び、1年間の研修を終えた後独立し、5年前より瑞穂町で「てくてく農園」を運営している。「新鮮な野菜を都市近郊でつくる」を信念に瑞穂町での就農を決めた。

田口さんは大学卒業後、ドイツのバイオダイナミクスに興味を持ったことをきっかけにドイツに渡り、1年間有機野菜農家の元で農業を学ぶ。初めて見る西洋野菜、カラフルな圃場に感動し、彩り豊かな野菜農家になることを決意した。2016年より、瑞穂町で「きりり農園」の屋号で日本や西洋の在来種・固定種の野菜やハーブ、ブルーベリーなどを育てながら暮らしている。

 

 

3人が出会ったのは「東京NEO-FARMERS!」という新規就農者のコミュニティ。東京都内で新規就農した者や農業で独立を目指す者、またその活動を応援する者が毎月夜な夜な集まり、ミーティングと称した飲み会を開催していたのが始まり。メンバーそれぞれのライフスタイルに合わせて十人十色な野菜づくりに励み、毎月メンバーが集まって自由に情報共有する場を作っている。

一般に農地を借りることができるのは、市街化区域以外となっている。東京23区内の農地は全て市街化区域にあるため、農地をかりるのは難しいと考えられる。非農家出身者が東京で農業をはじめるとなると、候補地は市街化調整区域のある青梅市、あきる野市、瑞穂町、日の出町等である。現在は難しいが、町田や八王子でもこれまでに就農実績があり、市街化区域でも就農を目指している。

東京で就農できる地域は限られているが、Mellow Vegeの3人をはじめ、東京NEO-FARMERS!が起こす小さな新しい風が東京という大きな可能性を秘めたエリアでどのように舞っていくのか。これからが楽しみである。

 

瑞穂町で「おいしい」をつくる

野元さんは、今日の朝採れたばかりの野菜を我が子のように眺めながらこう語る。「自分の食べたいものを自分の手でつくる。それを沢山の人に食べてもらって、美味しいと言ってもらいたい。予想以上の反応が返ってきたときは、これ以上嬉しいことはないよ」

3人は品目を絞らず、あえて豊富な種類の野菜を少しずつ手間をかけて育てる。「揚げてトルコ」や「ピッコラカナリア」などクスッと笑ってしまうような珍しい名前の野菜もつくることで、自分たちも楽しみながら野菜と向き合い続けている。

 

 

農業は人と人の助け合いでできている

3人の原動力は、野菜づくりに関わる人との関係。触れて味わう「野菜を通した関係づくり」を大切に生きている。

出荷先のレストランのシェフと野菜の出来について話し合ったり、地域の幼稚園に野菜を提供し、植物の感触や土の温かさなどに触れ合う体感を基に、子どもたちの食育の支援に貢献したりと、Mellow Vegeの野菜づくりは「野菜」という媒体で「居心地のいい関係」をつくり続けている。

「相性が良かったからね、そうじゃなきゃ一緒に農業なんてやらないよ」井上さんと野元さんはお互いに笑いながら言った。

 

 

栽培方法 水耕栽培 土耕栽培
肥料 化学肥料 有機肥料(購入) 有機肥料(自家製) 無肥料
雑草対策 除草剤 手刈り 放置 その他
病害虫対策 殺菌剤 殺虫剤 手潰し その他
種苗会社より購入 自家採種