高知/上樫森

高知/上樫森

マーケットで「上樫森」さんに出会うまでは、黒糖と聞いて、すぐにイメージするのは沖縄でした。そう、あまり知られていませんが、実は高知県黒潮町も国内でサトウキビ栽培の歴史が長い地域。古くは土佐藩がその栽培を奨励をしたことがはじまりだとか。全国でも数少ない、伝統的な釜焚き製法で黒糖づくりが行われる共同加工場が残るこの地で、サトウキビ栽培から加工まで一貫して行う上樫森の田波夫婦。高知に移り住み、そこで出会った黒糖づくりに魅了された二人は、マーケットに出店することで『高知の黒糖』の魅力を伝えてくれます。
 
伝統の釜焚き黒糖の衰退と、再興
 
かつては各地区にそれぞれあった加工場は、現在では地元に1軒の共同加工場があるのみ。その加工場を組合に所属する約30件の農家さんが共同で利用しています。この場所で、毎年11月末から12月末までの約1ヶ月間、ほぼ毎晩交代で各農家さんが黒糖仕込みに励みます。
 
土佐藩が奨励をしたことからはじまったと言われている、黒潮町のサトウキビ栽培の歴史。戦前まで盛んに行われたサトウキビ栽培と釜焚の黒糖仕込みは、戦後の白砂糖の台頭も一因となり、需要が激減。一時期は地域から栽培農家さんがいなくなってしまったそう。それを昭和63年ごろから、行政を含めた地域ぐるみでの特産品としての復活させる動きが高まり、土地に合った品種を持ち込んで栽培を再開。現在に至ります。
 
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(夜中から明け方まで、夜通しで釜焚きが行われる。明け方の加工場には朝陽が差し込む)
 
理想の黒糖の追求
 
地域の砂地状の土壌が、水はけを良くし「シャリがあり、口溶けの滑らかさがある」この土地ならではの黒糖の特徴につながります。ただ、同じ黒潮町で育てられたものでも、山間の粘土状の土壌で育ったものでは、同じ仕上がりにはならないのだそう。ある生産者さんが「この海辺にある平地の砂地状の土壌が、美味しい黒糖づくりには一番大事な要素」だと教えてくれました。
 
その他、肥料の有無や、切る節の高さ(使用する部分)、火の入れ加減によってもまた仕上がりが異なります。加工場では最年少だという田波さんには、年長の方々から黒糖づくりにおけるアドバイスをもらう機会が多くあるそうですが、それぞれの農家さんが、それぞれの理想を持つため「本当に皆んな言うことが違うんです」と、笑いながら教えてくれました。
 
もちろん田波さんにも追い求める理想の黒糖がある。それは「淡いキツネ色で、エグミのない、すっと溶けるような爽やかな甘さの黒糖」。例えば、栽培時に農薬や化学肥料を使わずに育てることで、エグミや灰汁を出にくくしている。また、糖度が20度ほど(*一般的には14度ほどのサトウキビが黒糖に使われるそう)のサトウキビのみを選んで使用することで、理想の黒糖に近づけます。それでも、その年その年にによって味や色合いの微妙な違いが出るのが、黒糖づくりの面白さだと言います。
 
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(上樫森さんの測り売りの黒糖)
 
機械化できないもの、つながりを生む伝統
 
実際に仕込みの現場にお伺いして、作業の工程を見る中で感じたのは「これは機械化できないもの」だということ。目で見て、鼻で香りを確かめ、手で混ぜて状況を見極めて、仕上げていく。火加減や火入れの時間の調整、混ぜ具合の強弱。それぞれの理想を持って、その理想に近づけるように励む工程が、作り手の楽しみとなっているように映った。毎年微妙に変化する味も楽しみの一つ。また、最終仕上げの作業では、地域の女性たちも手伝いに入りの型入れを行います。伝統的な釜焚きの文化を残すことは、同時に地域のの人のつながりを残すことでもある。上樫森さんのつくる黒糖、ぜひ一度ご賞味あれ。
 
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(左:薪を入れて火力の調整を行う/右:釜から溢れないように竹の木でかき混ぜる)
 
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(左:最後の型入れ作業を行う女性たち/右:海沿いの公園内にある上樫森さんのサトウキビ畑)
 
その他の写真はこちらから:https://www.facebook.com/pg/farmersmarket.at.unu/photos/?tab=album&album_id=1530890313607101

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