2/17日|熊野の山と暖かな海の風土。和歌山県田辺市から柑橘や米の作り手が出店。

太平洋から黒潮の暖かな潮風が流れ込み、内陸に目を向けると熊野の山が連なる和歌山県田辺市。南方熊楠がイギリスから戻ってきて、後半生を過ごした地でもあります。「紀伊国」は「木の国」からきているということもあり、和歌山県の四分の一を占めている田辺市は豊かな森林が9割を占めるそう。そこには、紀州備長炭の原木となるウバメガシも植わっています。さて、今回2月17日(日) Farmer’s Market @UNUには和歌山県田辺市から3名の生産者が出店。そこで、ファーマーズマーケットチームでは、実際に畑を訪れてお話を伺ってきました!

太平洋から吹く暖かい潮風のおかげで美味しい柑橘ができるとも言われる和歌山。そのため、柑橘畑は太平洋側を向いた南向きをしている様子が多く見られます。15、16世紀に中国から渡ってきたと言われるみかんは、熊本県八代から紀州有田に移植されたのがその始まり。年中通して、数十種類の柑橘を採ることができます。

まず訪れたのは、上秋津地区で柑橘と梅を育てる十秋園 5代目 野久保太一郎さん。「美味しい」という噂が人から人へと伝わり、育てる柑橘は市場には出さず直接欲しい人たちだけに直送で届けているそう。農薬の使用はなるべく抑え、化学肥料は使わずに三重県尾鷲市の魚粕ベースの100%有機肥料を使用して育てています。でこぼこの山の斜面をすり抜けると、デコポンや三宝柑、レモンや温州みかん・・・など、年間約30種類の柑橘の木が育つ畑のなかを野久保さんが案内してくれました。

また、野久保さんは柑橘畑の隣、さらに急勾配の山あいで梅も育てています。田辺市でも一番多い品種は南高梅。江戸時代にはもともとやせ地だったため米がうまく作られず、その当時は領主が梅を植えることで税金が免除されたことから梅がたくさん植えられているそう。樹上完熟で1ヶ月遅れで収穫し、プラスチックではなく30年間使い継いでいる木製の干し板を使うことでよく干せるそうです。また、梅干しの時期が終わった干し板は塩が残らないように、近くの川で3日かけて洗っています。

「あまりにも急な傾斜の山肌に梅の木が植わっているため、はしごを使っての収穫や剪定もできないので、収穫の時期は下に敷いた網に落ちてくる完熟の梅を拾って梅干しにしています」と野久保さん。周りの梅畑は収穫しやすいように低く剪定されているのに比べ、野久保さんの梅の木は3〜4mにもなっていて圧巻です。

さて、次に訪れたのは、同じく日向区で柑橘と梅を育てている岡本さん。元々は、ホテルのサービスマンをしていたこともあり、畑で農業に向き合うよりも直売や道の駅に自ら出向くことでお客さんと話して伝えるのを何より楽しみにしているそう。近年、田辺市の生産者さんは柑橘畑を梅に替えているところもあるそうですが、岡本さんは「柑橘のほうが面白いから」と、ハッサク、清見、麗紅、べにばえなど17種類を育てています。

柑橘畑をどんどん進むと、「この木は何か分かりますか?」と岡本さん。そこには、樹齢約100年とも言われるバレンシアオレンジの古木が堂々と植わっていました。袋がけをしないと表皮が青くなってしまう品種のため、栽培をストップしてしまう農家さんも多いそうです。

さらに、地域の生産者さんやシェフたちとともに「チームひなた」を立ち上げ、イノシシやシカのジビエ肉の加工販売も行っています。植林はシカ、雑木はイノシシ。農作業に行くまでの山間ルートの罠にかかっているシカやイノシシを加工場に持ち込み、解体していきます。

加工場では、お兄さんもプロのジビエ解体師である湯川俊之さんが、スムーズな手さばきで骨と食べられる肉の部位を綺麗に分けて解体していきます。「血が残ってしまうと臭みやアクが出てしまうので、締めてから一時間以内には解体。隅々まで美味しく食べてあげることが一番の供養かなと思っています」と岡本さんは語ります。

最後は米問屋「たがみ」を営む田上雅人さん。米問屋とは言っても、ただお米を売っている訳ではありません。代々続く米問屋を継ぐ前には、京都の老舗米屋さんで修行をしていました。今では「熊野米」という熊野エリアでつくる米のブランドも自ら立ち上げ、契約農家さんたちを巻き込みながら生産にも携わっています。やせ地で稲の育たなかった田辺市のなかでも、熊野エリアはその風土や富田川の地下水のおかげで米が豊かに育つそう。また、「熊野米」は化学肥料をなるべく使わないように、梅干しを作るときに使って捨ててしまう調味液や梅の木屑を使って栽培しています。

米屋の枠には収まらない田上さん、「熊野米プロジェクト」では甘酒や日本酒、米粉を使った缶パンも作っています。農家さんを巻き込んだ地域を盛り上げるアイデアに溢れ、あらゆる垣根を越えてコラボレーションをしている田上さんは、地元の若手生産者さんや起業家たちからの信頼も厚いです。

三者三様の和歌山県田辺市の生産者さんたちが、今回は2月17日(日)にマーケットに出店してくれます。ぜひ会って直接話をしてみてください。また、11:30からはそれぞれが生産する柑橘・ジビエ・米を食べられるランチ会を出店に合わせて開催いたします!詳細・お申し込みは下記からご覧ください。

https://tanabeshi.peatix.com/

出店の詳細は下記でも情報をアップデートしています。

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2019.2.12

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