【Farm Report】山梨・然企画 〜動物たちと生み出す、自然にやさしい素材と環境〜

山梨県甲州市「摘み草のお店 つちころび」の鶴岡さんの野草畑からほど近くに、「然企画」荻原さんの農園はあります。

近くに到着すると、愛馬・ハーモニーを連れた荻原さんが出迎えてくれました。この馬1頭に加えて山羊7頭を飼っています。朝に畑へ連れて来て、夕方まで雑草を食べてもらっているんだとか。

 

 

「動物たちとの協働で人と自然にやさしい素材、環境を生み出したい」という思いから、荻原さんがポニーと山羊を飼い始めたのは4年前。当初はポニーを連れて散歩していると近隣に住む人たちから不思議がられることも多かったそう。しかし、何事も「続けることが大事」という荻原さん。ハーモニーの愛らしさも相まって、今ではその地域の風景として受け入れられています。

 

 

荻原さんが農業を始めたのは、今から10年前。それまでは、農業関連の地方公務員として働いていたそう。当時は、肥料や農薬の使用を農家にすすめることに違和感をおぼえることもあったといいます。そんな時に体調を崩して健康であることの有り難さを実感し、自らの残りの人生で何が残せるかを考えた結果、退職して農家になる道を選びました。

 

 

もともと実家が農家で、畑が好きだったものの、ご両親からは「農家になるな」と言われていたそうです。荻原さんが就農する前は、他の人が畑を借りて慣行農法で作物を育てていました。

その畑を荻原さんが引き継ぐ際に、自身が体調を崩して健康への意識が高まったこともあり、農薬や肥料は使わないと決めたそう。そこで作り始めたのが、地域の特産品「枯露柿(ころがき=干し柿)」に加工するための甲州百匁柿でした。硫黄による燻蒸処理ではなく、湯煎と天日干しという昔ながらの製法で干し柿を作り、然企画オリジナルの「紅露柿(くろがき)」という名前で販売しています。

 

 

柿をもぎ、皮をむき、実をつるすのは根気と体力が必要な作業です。高齢化にともない、作る人が減っているという枯露柿を「元気にしたかったんですよね」と話す荻原さん。無農薬・無添加のものができれば、そういったものを探しているお客さんのニーズを満たすこともでき、山梨の柿の文化を盛り上げられると考えました。

荻原さんの話を伺いながら柿の木を見上げてみると、葉っぱや実に蜘蛛の巣がうっすらかかっているのに気が付きました。蜘蛛は、アブラムシなどの害虫を食べてくれます。ここでも、農薬・肥料に頼らず「動物たちとの協働で人と自然にやさしい素材、環境を生み出したい」という荻原さんの想いが感じられます。

 

 

柿のほかに、数年前から手をかけはじめた桃畑にもお邪魔しました。

昔からご両親が所有していた桃の木は、枝が倒れかかっていたりと一見弱々しいのですが、それでも切ってしまうことはせず自然のなるがままにまかせています。そうして見事に実った然企画の桃は、今年のマーケットでも大好評でした。

 

 

最後に荻原さんに連れられてやってきたのは、「まなびのら」と名付けられた場所。木に囲まれたなかに、サンハウスや道具小屋があります。木の上には、ツリーハウスも建設中!サンハウスのなかで、荻原さんが育てたりんごとご近所さんにもらったぶどう、そして冷たいチャイをいただきながらみんなで談笑しました。

 

 

チャイに使っているのは、飼っている山羊のミルク!「独特の塩っ気が、よく合うんですよ」と話す荻原さん。スパイスのおかげで独特の臭みもなく、とても美味しかったです。自然に寄り添い、動物の力も借りながら農的な暮らしを楽しむ荻原さんの心にふれて、畑にお邪魔した私たちもあたたかい気持ちになりました。

 

 

今回は、ファーマーズマーケットの運営メンバーに加えて、Farmer’s Market Community Clubのメンバーの方々も一緒に然企画さんの畑を訪問しました。今後もCommunity Clubメンバーの皆さんに、マーケットのコンセプトや出店農家さんの思いを実体験から感じていただけるような機会を増やしていければと思っています。お楽しみに!

 


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