【Farm Report】『畑から始まる、自然薯ごはん』自然の実り農園(山梨)

 

ファーマーズマーケットの名物『自然薯ごはん』

柔らかいチャーシューとごはんに、かける新鮮な自然薯を食べたとき、『おかわり!』と言わずにはいられなくなる。出店者やマーケットスタッフのリピーターも一番多いのではないだろうか。 
 

そんな大人気の『自然薯ごはん』、実は畑で自然薯を作るところから、この一食が始まっている。今回、その山梨県都留市の山の中にある『自然の実り農園』を訪れた。

 


 

『僕らは、自然薯を育てていない。自然薯を育てているのは土なんだ』

と語る、自然薯生産者の山岸さん。

元来、山の中で自然に育っていた、自然薯。
味の決め手はなんと言っても、土の質らしい。

そのため、自然薯作りでは、より自然に近い土壌を作り、雑草などの強い植物から守ることが大切だ。なんだか、『土に育ててもらっている』という言葉も理解できた。
 

 

『自然薯作りには大きく分けて2つの方法がある』

それは、パイプの中に無菌の川砂を入れて栽培する方法と、土の中で自由に伸びてもらう方法だ。前者は、栽培が簡単な他、無菌のため白い自然薯ができる。料亭など、料理の見た目において白さを重視しているところは、これを好む。後者は、栽培(特に収穫)が大変だが、多様な菌が生きる土の中で、自由に伸びるため、味はのるらしい。

また、経験上、大きい自然薯を作るためには、化学肥料を与えたくさん水をあげるらしい。しかし、自然な状態で栽培したものに比べると、味は劣るとか。

それを山岸さんは、『味がない長芋よりも水っぽい自然薯になるよ』と笑いながら教えてくれた。
 

 

『山の香りが感じられる自然薯を作りたい』

幼い頃から、新潟のお父さんの実家から天然の自然薯が送られ、食べてきた。その山の香りがする本物の味を食べていたからこそ、その味を毎年作ることを目指している。

だから、化学肥料も使わず、パイプを使用した自然薯作りもほとんどやめた。目指している自然薯ができたときの、喜びは涙がでるほど、嬉しいんだとか。
 
 

『口のまわりが、真っ赤にならない、自然薯』

自然薯を食べたとき、たまに口の周りが真っ赤になる。
これには、熟成期間が不足していることが大きな原因らしい。自然薯は、ツルが枯れて、1ヶ月ほど土の中で寝かせてから収穫した方が、味が落ち着き、刺激も減るのだとか。だから、ツルが枯れて、気温が一桁台になるまでは収穫をしないらしい。

つまり、収穫のスタートは11月中旬。
あえて、寒い中、凍えながらも土に向かって自然薯を掘り出すのは、大変な苦労だろう。とことん、味にこだわった結果、口の周りが赤くなりづらい自然薯ができるのである。
 

 

『むかこで、自然薯を読む』

今回畑を訪れたとき(2017.11.07)は、
自然薯のむかごの収穫の時期だった。

ビニールシートを地面に敷き、
笹ぼうきでツルを揺らして、むかごを落とすのだ。
 

 
その年のむかごを見ることで、自然薯の成長が読めるらしい。というのも、むかごが立派であるということは、それだけ、エネルギーが余っているということの現れであって、自然薯が十分に育っているということになる。

そんなことを収穫したむかごをみながら、軽トラごしに教えてもらった。
 

 
自然と向き合っている職業だからこそ、自分のコントロールを超えた範囲のことが多々起きる。
いいときもあれば、悪いときもある。

『今年は7月に雨が降らず、8月はずっと雨だった。』
『あと、新しい畑がイノシシにも食われちゃったんだよね〜』

っと渋そうな顔をする山岸さん。

 

今年の自然薯、どんな味になるか。11月の2週目頃にそれがわかるらしい。

今から、お腹が空いてきた。
 
 


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